親の話をさせてください
子どもの頃、うちはお金に余裕がある家庭じゃなかった。
「お金がない」「今月きつい」という言葉を、親から何度聞いたかわからない。でも不思議なことに、食卓には刺身が並んでいた。牛肉の炒め物があった。週に何度かは鮨のパックが出てきた。
子どもだった僕にはその矛盾が理解できなかった。大人になって、家計というものを自分で管理するようになってから、ようやくわかった。
あれが原因のひとつだったんだ、と。
別に親を責めたいわけじゃない。ふたりとも一生懸命働いて、家族においしいものを食べさせようとしてくれていた。ただ、ひとつだけ気づけていないことがあった。
「食費は贅沢じゃない」という思い込みだ。
「外食より安い」は本当に節約なのか

焼肉屋に行けば1人3,000〜5,000円かかる。でもスーパーで牛肉を買えば数百円で済む。「外食するより全然マシじゃん」という気持ちになる。わかる。その感覚はすごくわかる。
でもちょっと待ってほしい。
その比較、おかしくないか?
「焼肉屋に行く」か「スーパーで牛肉を買う」か、という二択で考えているから「節約した」と感じる。でも本当の選択肢は3つある。
- 焼肉屋に行く(高い)
- スーパーで牛肉を買う(中くらい)
- 鶏むね肉や豚こまや厚揚げを買う(安い)
「2を選んだから節約した」じゃなくて、「3と比べたら全然節約できていない」という視点が抜け落ちている。

これ、スタバと同じ構造だ。
スタバのコーヒーは約700円。コンビニコーヒーは100円。同じ「コーヒーを飲む」という行動なのに、600円の差がある。 刺身も同じだ。「外食よりは安い」ではなく、「鶏むね肉と比べてどうか」で考える。その視点が持てるかどうかで、毎月の食費が大きく変わる。
「でも栄養があるから」は本当か、データで確認してみた

「刺身は体にいいから」という声が聞こえてきそうなので、ちゃんとデータで確認してみよう。
マグロの赤身(100g)の主な栄養素はこんな感じだ。
- タンパク質:26.4g
- 鉄分:2.0mg
- DHA・EPA:約1,670mg
- 価格:約300〜500円
一方で、コスパ食材と比べるとこうなる。
| 食材 | タンパク質 | 鉄分 | DHA/EPA | 目安価格(100g) |
|---|---|---|---|---|
| マグロ赤身 | 26.4g | 2.0mg | ◎ | 300〜500円 |
| 鶏むね肉 | 23.3g | 0.3mg | ー | 60〜80円 |
| 豚こま肉 | 17.1g | 0.6mg | ー | 80〜120円 |
| 厚揚げ | 10.7g | 2.6mg | ー | 40〜60円 |
| サバ缶 | 20.9g | 1.9mg | ◎◎ | 100〜150円 |
これを見ると、こういうことが言える。
タンパク質が目的なら、鶏むね肉でほぼ同等のものが1/5以下の価格で摂れる。
鉄分が目的なら、厚揚げのほうがマグロより多い。
DHA・EPAが目的なら、サバ缶のほうが豊富で価格は1/3以下。さらにAmazonでDHAサプリを買えば1日あたり約30円で摂取できる。
つまりこういうことだ。
タンパク質が目的? → 鶏むね肉で十分
DHA・EPAが目的? → サバ缶かサプリで十分
鉄分が目的? → 厚揚げや豆腐で十分
じゃあ何のために刺身を買ってるの? → なんとなく
「健康のために刺身を買う」は、実はあまり合理的な理由ではない。
「なんとなく」がどれだけ怖いか、計算してみた

じゃあ「なんとなく」がどれほどの金額になるのか。家族4人世帯で計算してみよう。
刺身・牛肉・鮨を週4回買う場合 vs 代替品生活
| パターン | 月額 | 年間 |
|---|---|---|
| 刺身・牛肉・鮨を週4回 | 約2.5万円 | 約30万円 |
| 鶏むね・豚こま・厚揚げ・サバ缶中心 | 約1.5万円 | 約18万円 |
| 差額 | 約1万円 | 約12万円 |
食材だけで年間12万円の差。
さらに「無自覚な贅沢」は食材以外にも積み重なっている。
| 行動 | 贅沢側 | コスパ側 | 年間差額 |
|---|---|---|---|
| コーヒー | スタバ約700円×月20回 | コンビニ100円 | 約14万円 |
| 飲み物 | コンビニPET 150円×月20本 | ドラッグストア80円 | 約1.7万円 |
| 食材 | 刺身・牛肉・鮨 週4回 | 代替品生活 | 約12万円 |
| 合計 | 約28万円/年 |
年間28万円。
これ、ピンとこない人のために別の言葉で言い換えよう。

軽自動車1台を1年間維持できる金額と、ほぼ同じだ。
保険・税金・車検・ガソリンを合わせた軽自動車の年間維持費は約30万円。つまり「なんとなくの買い物」をやめるだけで、毎年もう1台軽自動車を持てる計算になる。
さらにこれを投資に回したらどうなるか。
| 期間 | 年28万円を5%で運用 |
|---|---|
| 10年後 | 約363万円 |
| 20年後 | 約924万円 |
| 30年後 | 約1,900万円 |
野村総合研究所の定義では、純金融資産5,000万円以上の世帯が「準富裕層」とされている。年間28万円を30年間運用し続けると、その約38%にあたる1,900万円になる。
「刺身を買うか買わないか」は、30年後の資産に1,900万円の差をつける可能性がある話だ。
工業高校卒・偏差値35〜39の僕がFIREできた理由
ここで少し自分の話をさせてほしい。
僕は工業高校卒で、中学のときの5教科の平均点は200点くらいだった。偏差値で言えば35〜39くらいだと思う。いわゆる「勉強ができる人間」では全くなかった。
そんな僕が44歳でFIREできた。
「高収入だったんでしょ」と思うかもしれないが、そういう話じゃない。「賢い投資をしたんでしょ」とも違う。

一番の理由はたぶん、若いころから「無自覚な贅沢」に気づいていたことだと思っている。
刺身をなんとなくカゴに入れない。スタバにふらっと入らない。コンビニでペットボトルをなんとなく買わない。そういう小さな「1秒の立ち止まり」を、ずっと続けてきた。
特別なことは何もしていない。頭が良くなくてもできることをやってきただけだ。
うちの親は「お金がない」と言いながら刺身を買っていた。僕はその光景を見て、なんとなく「これは違うかもしれない」と感じた。それだけだ。
偏差値は関係ない。学歴も関係ない。「なんとなく」に気づけるかどうか、それだけだと思っている。
安い食材は「妥協」じゃない

ここで大事なことを言いたい。
この話は「安い食材を我慢して食べろ」という話ではない。
塩麹に漬けて焼いた鶏むね肉を食べたことがあるだろうか。驚くほど柔らかくてジューシーで、正直「これで十分じゃないか」と思う。厚揚げを生姜醤油でじっくり焼いたものは、牛肉より満足度が高いと感じることすらある。
美味しいかどうかは、値段が決めるんじゃない。他人のレビューが決めるんでもない。自分が食べて、どう感じるかだけだ。
これ、意外と忘れがちなんよね。
高い食材を買うと「美味しいはずだ」という先入観が働く。安い食材には「どうせ美味しくない」という思い込みがある。その思い込みをひっくり返したとき、食費は自然と下がり始める。
食を楽しんでいる人は、値段ではなく自分の感覚を基準にしている。その感覚を磨くほうが、食生活も家計も豊かになる。
じゃあ刺身は食べちゃいけないの?

そんなことは一切思っていない。
刺身は美味しい。牛肉は美味しい。鮨は最高だ。
ただ「たまに食べるから美味しい」という感覚を取り戻してほしい、という話だ。
毎週なんとなく買っている刺身を、月に1回「今日はちゃんと刺身を楽しむぞ」という日に変える。そのほうが、同じ金額を使っても満足度が上がる。しかも年間で浮いたお金が投資に回る。
頻度を下げることは、贅沢の質を上げることでもある。
「毎週の普通の刺身」より「月1回の特別な刺身」のほうが、ずっと美味しく感じられるはずだ。
今日からできる「1秒の習慣」

難しいことは何もない。スーパーのカゴに手を伸ばす前に、1秒だけ立ち止まる。それだけだ。
「これは食べたくて買うのか? それともなんとなく買うのか?」
食べたくて買うなら、どんどん買えばいい。なんとなく買うなら、一度カゴを通り過ぎてみる。それだけで少しずつ変わっていく。
お金が貯まらない原因は、収入が少ないからじゃないかもしれない。「贅沢している」という自覚がないまま、毎日少しずつ贅沢しているからかもしれない。
うちの親は悪い人じゃなかった。ただ、気づいていなかっただけだ。
あなたは今日、気づくことができた。それだけで、もう変わり始めている。
まとめ
- 「外食より安い」は錯覚。食材にも無自覚な贅沢がある
- 刺身の栄養素は鶏むね肉・サバ缶・厚揚げで1/3〜1/5の価格で代替できる
- 「無自覚な贅沢」が積み重なると年間約28万円の差になる
- 年間28万円=軽自動車1台の維持費=30年運用で約1,900万円
- 美味しさは値段じゃない、自分が感じるかどうかだ
- 工業高校卒・偏差値35〜39の僕がFIREできたのは、この「1秒の立ち止まり」を続けてきたから
- 脳死でカゴに入れる前に、1秒だけ立ち止まってみよう
あなたは今日、気づいてしまった。
毎週なんとなく買っていた刺身。
なんとなく寄っていたスタバ。
なんとなく手に取っていたコンビニのペットボトル。
その「なんとなく」が、年間28万円。
30年で1,900万円になるという事実を。
でも気づいただけで終わらせてほしくない。
次のステップは「じゃあこのお金をどう増やすか」だ。
NISAをどう使うか。保険は本当に必要か。
家計のどこにまだ無駄が隠れているか。
それをひとりで考えるより、プロに一度話を聞いてもらった方が
圧倒的に早く、確実に動き出せる。
しかも今は無料で相談できる時代だ。
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